昨年9月、取材で韓国・ソウルを訪ねた。取材の主な目的は、大ブームのPSY「江南スタイル」にあやかった「リアル江南スタイル」。「ソウルの江南にあるカラオケ(韓国式個室キャバクラ)で、韓国通を気取って女のコと仲良くなる」(詳細はこちら⇒http://nikkan-spa.jp/yoru/331566)というものだが、記事では触れなかった韓国風俗の最新事情についても調査してきたので、ここで触れておきたい。まずは15分6000円程度と、短時間ながらもリーズナブルに楽しむことのできる「置屋」。ガラス張りの小部屋がズラリと並び、アガシが誘ってくるというシステム。ソウルにはオーパルパル(588)、龍山、永登浦など、5つほどのエリアがあるが、記者が向かったのはもっとも有名なオーパルパル。置屋は摘発が多いため、縮小と復活を繰り返している。そのため、タイミングによってはまったく開いてないこともあるのだが、今回は全盛期の7割ほどの空き状況であった。
こちらはシステム的にあまり好きではないこともあり、路地を一回りして視察終了。やはり、韓国風俗といえば「トキバス」。直訳するとトルコ風呂、いわゆるソープランドだ。一人1万2000円程度で飲食、サウナ、按摩、宿泊、そして女のコのサービスをオールインワンで楽しめる。場所はソウル中心部にある東大門より、さらに東にいった慶南観光ホテル周辺。早速、タクシーで向かうが、「마사지(マッサージ)」と書かれた看板にネオンが灯っていない。唖然とする記者を見て客引きらしき男性が怒気を含んだ声で「ここらへんのソープは全部潰れたよ」と語りかけてくる。
聞けば、8月頃に一斉摘発が起こり、このエリアの20軒近いトキバスは軒並み壊滅し、1000人あまりの難民ソープ嬢が、地下に潜って細々と営業をしているという。「エッチしたいなら車でお店に連れてきますよ」というが、半信半疑の記者は、もう一つのトキバスエリア・汝矣島(ヨイド)へと向かう。漢江の南側に三角州のような形で残るこの小さな島は、国会議事堂をはじめ、放送局、証券取引所などが集まるソウルの中枢。「こんな一等地になぜ風俗が?」という疑問もあるが、その猥雑なところもまた、ソウルの魅力といえるかもしれない。
タクシーで15kmほど移動しヨイドに到着。KBSの裏側あたりを探るが、目にするのはサウナがついていない「안마(アンマ)」の看板だけ。思い出すだけでも股間が熱くなる「トキバス」は、もはや過去の遺物なのか? 韓国の夜遊び事情に詳しい、コーディネーターのチョウ氏は次のように語る。「風俗自体はすべて違法だから小規模の摘発は何度もありましたが、ここまで大きい摘発劇は過去最大です。理由の一つとして、年末の大統領選があります。李大統領の竹島訪問もそうだけど、大統領選の直前になると、国民の関心をひく政治アピールや浄化運動が多くなる傾向は昔からありましたから」
ということは、トキバスが消えたのはその時期だけ? 大統領選も終わったいま、序々に復活してくるのだろうか。
「今回の摘発は営業休止などの生ぬるいものではなく、備品から内装にいたるまで、すべてが元に戻されてしまった。置屋なんかは設備にお金をかけてないから復活は簡単ですけど、内装に力を入れていた店が、またウン億ウォンってお金をかけて元に戻すことはないと思います。知り合いのオーナーも、『これからは小さい店で目立たないようにやってくしかない』と嘆いていましたから」
「飲み食いフリーの健康ランドの中にプレイルームがある」というのが韓国風俗の一番のメリットだったのに、これでは悲しい限り。クリーン化計画で、また一つ、地上から男たちの楽園が消えてしまった。<取材・文/スギナミ>
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